これから始まるものは、とある国の宰相を中心とした日ノ本・戦国乱世での話である。
出羽国−天木城−
「ひーまーだーっ!!」
「暇じゃないから。執務残ってるから。」
「…そんな固い事言ってると禿げるよ。」
「…
執務2倍。」
「んぎゃーっ!タイム!今の取り消し!!」
ここは、天木城・天守閣。
この一角には、城主尚且つ国主を務める天白 郁が居た。
漆黒の短髪に、まだ幼さを残す顔。
女性でありながら、鮮やかな色の袴と小袖に腕を通し、羽織を羽織っている。
現在、頬杖をつき机の上の書類と睨めっこ中。
(いくら睨んだところで書類の山は消えないのだが)
そして、その横で大量の書類を猛スピードで片付けていく人物。
天白 郁が家臣・ である。
少し癖のある茶色の混じった髪で、前髪を上げている。
その瞳は、次々と書類の山に通され、筆を持ち、文字を書いているその手は残像が残るほど速い。
「というか、郁が書類を溜めなければいい話なんだけどなあ…。」
「
それできたら苦労しないって!」
「…((頭痛発動))」
そう、今何故このような書類の山を倒すべく格闘しているかというと。
普段から、城下町にお忍びだの・剣術の鍛錬だの・瞑想中だの
様々な理由をこじつけて、執務をさけてきた郁の仕業である。
結果、書類は溜まりに溜まるわけであって。
郁の家臣であり、この城の宰相であるにとばっちりが来るわけで。
しかもこれは、今回ばかりではないのだ。
そして、元々精神が弱く・体も丈夫ではないインドア派のは
とてつもないダメージを受けるわけである。
極度のストレス・疲労から来る”腰痛・頭痛・胃痛・眩暈”は半端無い。
よくこの国が傾かないものだと周囲は思うやも知れない。
そこはやはり、宰相のが尽くしているわけだ。
自由奔放な我が主を見て、眩暈を覚える。
その眉間の皺と、眼の下の隈は日に日に酷くなっていく。
と、が一人溜息をついていると郁が突然声をあげた。
「こーくー!」
「…なに?」
郁の呼びかけに、一人の人物が部屋にくる。
といっても、襖を開けて来た訳ではない。
天井裏から、音も無く現れたのだ。
ここまでいえば分かるだろうが、”こく”と呼ばれたその人は言わずもがな忍である。
鵠。
出羽国の忍であり、天白忍隊の長でもある。
その実力は確かなものなのだ。
常に眠そうで(というか、事実眠くて)、だけど忍だからそう易々と眠れなくて。
全身に黒の忍装束を身に纏っている。
ちなみに姉が居り、その姉も忍である。
「なんか良いこと無いかなー?」
「うーん…特に面白い情報は入ってないけど?」
「うん、それより執務しようね。
頼むお願い。」
私過労死しそう、と言葉を零す。
目が虚ろな様にも見える。
そんなを余所に(酷い!By)、郁は面白いことは無いかと鵠に問う。
城で見張っていたり、各地に飛ばした部下の情報を得てる鵠だが、
今のところ、暇が無くなるくらいの情報は無い。
暇だよー、とついに畳の上に寝転がる郁。
そして、そのままごろごろと転がりまわる。
その様子を見て、ついには泣きそうになる。鵠はというと、笑っている。
そんな平和な(?)時間を3人で過ごしているとき、
「失礼しますっ!で、伝令です!!!」
「…どうした。」
一人の兵が部屋へ突然入ってきた。
断りも無く入室したところ、かなり急用なのであろう。
そして、息を切らした兵に静かに問う。
その眉間には先ほど以上に皺が寄っている。
一方、郁は急いで座り机に向かっている。
鵠はというと、兵が来ることを察知していたのか。何時の間にか消えていた。
恐らく天井裏に居るのだろう。
の顔を見て、一呼吸置き先ほど以上に張り詰めた声で兵は報告をした。
「鶴岡が謀反!城下の少し北に外れた村を襲撃してる模様!!」
「えぇっ!!?」
「……。」
その報告に、城主は驚きの声を上げ
家臣はまず自分の主の反応に眩暈がし、兵の報告によりよりいっそう眉間の皺がこくなった。
鶴岡というのは、郁が治めている出羽国の大名で以前、郁と盃を交わした大名だ。
戦を避ける郁に対して不満を持っているのは、知っていた。
そのことから、動きが怪しいのも知っていた。
其れが今日、謀反という形で起こるとは…。
しばらく考え込み郁を見る。
その視線を受け、こくんと頷く郁。
そして、ばっと勢い良く立ちあがり、傍に置いてあった愛刀を手に取る。
その顔には先程までのあどけなさは無くなっており、瞳はいつになく真剣だ。
そして、口を開け凛とした声で言った。
「戦支度をせよ!直ちに村へ向かい、鶴岡軍に制裁を下す!!!」
→
(その者!皆に出陣だと伝えい!早急にだ!)
(ははっ!)
(んじゃっ、行くよ!、鵠!)
(御意。私は馬を用意してくる。)
(御意に。)
(珀さんは城で待機!留守を頼みましたっ!)
(御意。)
あああああああ、やってしまった宰相連載。やっちまったぜな心境です。
オリキャラが出しゃばる出しゃばる。
あれ、女主は・・・?って感じですけど、大丈夫です。後々ちゃんと夢らしくなる、筈・・・です(オイ
補足?というか少し言わせて貰いますと。
史実・鶴岡なんて大名居ません!(←)吉切の空想でございます!!
ついでにぶっちゃけますと、この時代は出羽なんて国なかったかと。
多分、最上さんが治めてますね。多分、国の名前も羽州じゃないかな・・・?
まあ、でも細かいことは気にしないってことd((万死
そしてさらに、最初に忠告しときます。多分第2幕まで無糖です。戦のお話です←
そのあと一応キャラが絡んできますが・・・無糖です(←)よくて微糖です((
・・・その、生暖かい感じで見守っていてください・・・。
2012.3.18