放課後の屋上はとても静か。お昼休みとかはちらほら生徒がいて、それぞれ話してるからちょっと騒がしい。 女の子のお話声は楽しそうで可愛いからご飯の良いBGMになるし好きだけどそれ以上にこの放課後の、運動部の声を聞きながらゆっくりする時間の方がもっと好き。 どっちも青春って感じで良いよね。絵描いたり本読んだり転寝したりまあ色々しながら、夕方まで過ごす。 私だけの時間。なんてね。・・・私だけの時間、だったはずなんだけど。



ちゃーん」
「・・・・・・はあ」
「今日は転寝の日?」



現れた男子生徒は寝転ぶ私を覗きこんでへらっと笑った。ぼんやりした眼で見返すと今日もお疲れ様ーと言って横に座り込む。 最近、飄々とした掴めない男が放課後の私のオアシスにやってくる。 別に屋上は私のものじゃないから良いけど、そっとしておいてほしい。のに、この、猿飛佐助という男は必ず話しかけてくる。 (爆睡してたら起きるまで待ってるし)絵描いてる時とか本読んでる時に話しかけてくるのは如何なものか。



「聞いてよ旦那がさー」
「はあ」
「せっかく真心込めて作ったお弁当忘れて来ちゃったんだよ酷いでしょ!」
「はあ」
「俺様今日は朝早いからちゃんと持っておいでよって玄関に置いたのに!」
「はあ」
ちゃん慰めてー!」



そう言って寝転んだままの私の腹に飛びついてきた。ぐりぐりと頭を擦りつけて癒されるーとにやけてる奴に目をやりながら思う。 私、はあしか言ってないんだけど良いのか?癒されるのか?旦那、そう旦那だ。猿飛がいう旦那はうちのクラスの真田幸村。 何かやたら熱くて、武田先生と殴り合いしてて、女子が絡むと破廉恥と叫ぶ・・・ちょっと、うるさい子。 女子を見るだけで破廉恥と叫ぶお前の頭が一番破廉恥だと初めて聞いた時は思った。



ちゃんいいにお「破廉恥でござるうあああああああああああああ!」・・・旦那・・・」
「(うわきた)」
「さささ佐助ななな何を・・・!」
「旦那うるさい」



噂をすれば何とやら。 ばーんと元気を良く扉を開けて入ってきた真田君はさっそく例の言葉を発した。 真っ赤な顔であわあわと変な動きをしながらこちらへ向かってくる彼に続いて、何人か出てくる。



「Hey、!昨日ぶり猿てめええええさっさと離れろ!」
「(何か勝手に名前で呼ばれるし)」
ちゃん今日も可愛いねえ!」
「(会う度御世辞言われるし)」
ージャムパン買ってきてやったぜー」
「(ありがとう)」



そう、これだ。最初の頃は猿飛だけだった。
なのに何故か、知らないうちに増えていた。毎日来るわけじゃなけどね。 猿飛曰くすごく女子に人気らしい眼帯をつけてる英語まじりで話す伊達政宗様。(女子と片倉さんが様付けで呼んでる) 猿飛みたいに飄々としてて、恋恋うるさい前田慶次。前田さんも女子から超人気らしい。どっちも顔整ってるもんね。 あともう一人眼帯。不良っぽくてたくさんの舎弟みたいなの連れてる長曾我部元親アニキ。いつも何かくれる良い人。 今日は来てないけどたまーに頭が良くて静かな日輪の申し子が来ることもある。申し子さんはアニキさんと喧嘩さえしなければ大人しい。 増えた彼らはわらわらと私の周りに集まってきて話出す。どうしてこうなった。



「あ、あの、殿・・・!」
「?」
「そそそそのような短いスカートで寝転ばれては、その、」
「スパッツ穿いてるから大丈夫(ぺら)」
「!!!!!!!!!」
「お」
「は、は、破廉恥でござるううううううううあああああああああああ!」
「幸村うるせえ」
「(ふ・・・)」



ぅおやかたさぶあああああああああっと何故か武田先生を呼びながら去って行く真田君。 よし一人減った。問題は残りの奴らだと思っていると、猿飛が「ちゃん文化祭どうするの?」と話しかけてきた。 そういえば文化祭近いなー。もうちょこちょこ準備も始まってるs・・・は!文化祭か・・・! 伊達様とか真田君とか部活入ってるはずなのに何で放課後にここにいるんだと思ってたんだよ。 運動部縮小活動中か。なるほどなと一人納得してたら一緒に回ろうよとくっついてくる猿飛。



「猿は引っ込んでな、は俺とまわんだよ」
「政宗は女の子いっぱい誘ってくれんだろー?」
お前もな
「ちょっと邪魔しないでよ」



俺と一緒に回るんだ、いや俺だ、と騒ぐ4人を眺めながら小さく息を吐く。どういう状況だ。それよりもっとこう、のんびり静かに過ごしたいんだけど。 でもまあ、文化祭当日彼らと一緒に回る姿を想像してみるとやっぱり、何だかんだで猿飛といるのが一番落ち着くっていうか、慣れてるから楽そう。 伊達様たちもよく構ってくれるけど、まだそんなにだし。 「じゃあ猿飛と」って呟くと、小さい声だったのに拾ってくれたのか皆黙る。 ちょっとの沈黙の後猿飛の歓喜の叫びと伊達様たちの驚愕の声が響いて、またわいわいと賑やかになった。うるさい。









オアシス
(でもまあ、こういうのも悪くはない)















ひゃああああああ、(←) このお話は「Labyrinth」の百月 澪さまが30000打されたときに、リクをさせていただき、書いていただいたものでござりまする・・・!
もう、発狂
ホント我侭すぎるリクエストだったんですが、書いてくださいましたっ・・・!!!
もうUPされ、見に行った瞬間ニヨニヨが止まりませんでした(爆)
まさにオアシス・・・!はんぱねえ・・・!!

澪さま、ほんとーにありがとうございましたっ!!!回収が遅れに遅れ、申し訳ございませんでした(汗
表記などに不満・不都合がありましたら何なりと!



'12.02.26    ※著作権は無論、百月 澪さまにありまする!!!