「!!今日誕生日だってのは、本当かァ?!」
そう叫びながら私の部屋にノックもせずに入ってきた鮫に、私は唖然とした。
いや、だって普通驚くって。
かんちがい
「いや、さ、スク。まずさ、ノックしようよ」
「あぁ?!あ、お゛ぅ、悪ぃ」
「いや、まあいいけど」
私がそう言えば、軽く肩を落とすスク。まあ、別にそこまで気にしてないけど。
今現在、私は読書を満喫していたところだ。
これが着替え中だったら、迷いなく得物の刀を取っていたところだけどね。
私の前にいるのは、銀髪長髪が特徴の男。私の同期であり、恋人であるスクアーロだ。
何故か、どういうわけか彼は先ほど血相を変えて私の部屋にやって来た。
入り口の前に立っていられるのも何だったので、とりあえず入るように促す。
そうすればスクは、なんの迷いもなく私の傍へ来る。
とりあえず、状況把握しようか。
スクは先刻「今日がお前の誕生日って本当かー」とか言いながら、ドアを勢いよく開けてやって来た。
単純明確に言おう。
そんなわけない。
私の誕生日は春であって、今は真冬だ。窓の外を見てみれば、豪雪。一体どういった解釈をすれば、先刻の考えに辿り着くんだい、スクさんや。
もう一度、目の前の恋人を見ればかなり緊迫した表情。
…というか、私スクに誕生日言ってなかったけ?一応、付き合ってかなり経ってるんだけどなあ…
「・・・あの、スク。なんでそう思ったの?」
「いやよォ、さっきルッスと話してただろォ?今日が何年目とか、めでたいやらよぉ」
「・・・」
・・・なるほど。
確かに私はさっきまで、ルッスと話に花を咲かせていた。無論、スクの言っているような内容で。
でも、決して私の誕生日の話ではない。断じて。
うーん・・・まあ、似てるような内容ではあるんだけれど。
目の前のスクは相変わらず、なんとも言えぬような表情。
まるで、「どうなんだ?」とでも訴えているようだ。
・・・そんな顔されると、悪戯したくなっちゃうなあ。
そんな外れたことを考え付いてしまい、ついつい私は意地悪を言ってしまう。
まあ、でも。忘れているスクが悪い。
「・・・忘れてたの?スク」
「っぐ、わ、悪ィ・・・」
「(かわいいなあ・・・)私は、しっかり覚えてお祝いまでしたのに?」
「っぐぅ、ホント悪ィ…!すまねぇ!!」
・・・ちょっと意地悪しすぎたか。
スクは先程よりもさらに焦っている顔に。眉根が下がって、心底困っている顔だ。
スクは根はいい人だから、こういうとこにちゃんと罪悪感を持ってくれる。
うーん、これ以上は私が持たないかも。
さすがに恋人のこんな顔を見たいとか、そんな趣味はない。私はいたってノーマルだ。
というわけで、ネタばらし。
私がふ、と笑みを零せば心底不思議そうな顔をするスク。
そんな恋人にまたもや心で笑みを零し、私は言葉を紡ぐ。
「今日はね、私がヴァリア−に入隊した日だよ」
「・・・は?」
わー、鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔。珍しいな、スクがこんな顔するなんて。
まあ、それも私の発言のせいではあるんだけれど。
いまだに呆けているスクに、私は喋りつづける。
「今日で、私はヴァリア−入隊10年目。雲の幹部になって、10年目」
「そ、そうなのかァ?」
「えー、スク覚えてないの?ルッスは覚えててくれたよ?」
私が苦笑しながら言うと、言葉を詰まらせるスク。
まあ、他人が入隊した日なんて覚えてないだろうな。スクは、自身が入隊した日だって覚えて無さそう。
そう、今日は私がヴァリア−に入隊した日。
スクと同期だった私は最初、フリーの殺し屋だった。それなりに名前は知れ渡っていて。
で、
あくる日私は拉致られた。
そんで当たり前のような流れで雲の幹部とやらに就職した。
当時、リング争奪戦で雲の守護者を失ったらしく。スクの同期であり、それなりに腕が立ち、雲の素質がある私に目がついたわけだ。
割と物事をなんでも受けとめる私は、特に抵抗もせずにその職を受け入れたわけだけど。
ああ、懐かしいな。
マーモンとベルが闘りあってて、XANXUSの投げたグラスがスクの頭にぶつかって、・・・
今もあまり変わらないか。
私が感傷に浸っていると、目の前のスクの雰囲気が急に変わった。
・・・なに?
小首を傾げれば、スクがぽつりと呟く。
「悪ぃ、ちゃんと覚えてやれてなくて」
「いや、まあ別にいいんだけどね。ルッス以外は覚えてなかったしね」
ちゃんと悪いと思ってくれてるあたり、やっぱりスクだなあとか思ってしまう。
さっき言った通り、本当にルッス以外は覚えてなかったし。まあ、それが普通なんだろうけどね。
私は記念日は覚える方で、しかも今日はまた特別。
なんといっても、スクと再会できた日だったから。…これは、恥ずかしすぎて本人の目の前では言えそうにないんだけど。
学校で同級生だったスク。
その頃から、言っちゃえば私はスクに想いを寄せていた。
剣一筋で、己の強さを求めつづける姿に心底惚れた。異性としても、同じ剣士としても惹かれたわけだ。
そんなスクと再会できた日。
かなり予想もしていなかった展開だったけれど、逢えた事に違いはない。
…実はかなり神様に感謝してたりしてた。
私が思考にふけっていると、ふと頬に温もりが。
私のすぐ近くに、スクの綺麗な整った顔。私の大好きな白銀が、そこにある。
まあ、言うまでもなくスクにキスをされた。頬に。
何回もやっていることなのに、自然と頬が緩む。
「…、おめでとうなぁ。お前がここに来てくれて、本当に良かったぜぇ」
「…とってつけたような感じだなあ」
「そんな訳ねぇ。これは本心だぁ」
「ふふ、分かってるよ」
恋人の優しい囁きに、じんわりと熱くなるのが分かる。
頬に、額に、鼻頭に、瞼に、目尻に、唇に。スクの温もりが触れる。
とてもくすぐったくて、あたたかい。
私が目を細くし「くすぐったいよ」と言えば、「そうかあ?」と嬉しそうに笑うスク。
ねえ、スクは私のこといつから好きだったのかな?
私と再会できた日、嬉しかった?どう思った?
そんなこと分かりはしないけど、私と同じだったら良いなあ。
来年も、またその次の年も、そのまた次も。
私はずっとこの日に感謝するよ。
あなたに ふたたび あえた めぐり愛
(お前は俺が、あの日お前と逢えたとき、どれほど嬉しかったか分かるか?全身の血が、熱く、勢いよく全身を廻ったのを覚えてる。
神に感謝した。心から。巡り合わせとは不思議なもんで、俺の学生時代の想い人に再び逢えたんだもんなあ。
しかも再び逢えただけでなく、同じ場所に居られるという幸せ。俺の世界は、幾年ぶりに歓喜に満ちた。
なんでそんな大切な日を、すっかり忘れてたかというと、言い訳させてもらえば、今に幸せすぎたんだあ。
お前が覚えていたことに驚いたが、同時に嬉しかった。お前も、俺と、少しでも同じ気持ちだったんだろうか?
これから先も、俺は今日に感謝する。勿論、お前と一緒にだあ)
というわけで、彩華への捧げものですあ!!ごめんんんん、かなり遅れてしもたあああああ((ズサアアアアアア
彩華のブログ2周年記念ということで、「じゃあ俺、お祝いに小説と絵かくNE!」とか言っておきながら、かなり遅れたしもたマジごめん
お祝いということで何か関連づけたいなー、とか思ったらこうなりました^q^あれ、なんか違う(←
なんかもうgdgdすぎる文ですが、少しでも喜んでいただけたら嬉しゅうございまする!
改めて、おめでとうございました!これからも頑張ってくださいまし!応援しとりますうううううううう(キリリッ
ブログの方でも、サイトでもよろしくねv
お持ち帰りは、彩華のみ!
(ちなみに祝い絵⇒◆)
2012.02.27