琉さんが我が城にやってきて数刻。
今では、本当に初対面か?というくらいに城の者と接している。
まあ、仲が良いことに越したことはない。
−その者、出会う−
異世界の住人。
なんとも信じがたい話だが、信じるほか無い。
天守閣には、私とお頭・鵠に琉さんの四人がいる。
先ほどから琉さんの世界の話をしてもらっているのだけど、妙に説得力のある話が幾つか・・・。
「で、佐助っていうオカン忍者がいるんだけどねー」
「うはっ!こっちにも居るよー!」
「でしょうねー!この前とか、気づいたらユッキ―の朝餉のご飯とか、よそってたんだZE!」
「こっちは、この前ユッキ―の鉢巻の綻び直ししてたー!」
「「あははははは!」」
・・・こんな感じで、だ。
お頭と琉さんはよっぽど気が合ったのか、先ほどからこんな感じだ。
ちょ、二人ともそんなバシバシ床叩かないで・・・!あんたら、無駄に力あるんだから・・・!
(琉さんが力があるということは、さきほど分かった)(なんたって、お頭を肩車して城内を走り回っていたんだからな・・・)
そういう鵠は必死で笑いを抑えている。プルプルしてる。
いや、お前忍だろう・・・!持ち場に戻りなさい、持ち場に!
その他にも、元就殿が光合成してるとか、政宗殿が馬イク乗りまわしてるとか、小十郎殿の野菜は美味しいとか。
こちらでも馴染みの人物のことを、面白おかしく琉さんは喋る。
聞いているこちらとしては、とても楽しく思わず笑いを零してしまう。
で、(これは私のような立場だから仕方ないんだが)琉さんを観察していて、分かったことがある。
それは、幸村殿の話をしているときが非常に楽しそうということだ。
他の誰の話よりも笑みを浮かべ、それは楽しそうに話している。
きっと、幸村殿と特別な関係にあるんだろうな。
まあ、それはさておき。話を戻そう。
ひとしきり笑い終えたのか、ひーひーと腹を抱えていた二人が茶を飲む。
・・・思い出し笑いとかで、噴出さないといいんだけど。
と、ふと琉さん声を発した。
「ん?ねーねー、郁ちゃん。この紙、なに?」
「ふぁい?」
・・・お頭、口の中の御菓子ちゃんと呑みこんでから喋りなさいね。
琉さんが言いながら、ひらひらとある紙をこちらに見せる。
その手にあるものは2枚の上等そうな紙。文だろうか?
・・・あんな書類、わたしは見たことがないんだけど。
一応、お頭に出す書類は私が目を通すんだけどなあ。
鵠に目配せをすれば、知らないと首を振る。
嫌な予感がするのは、私だけかな。いや、そうだと信じよう。
「あー、それはねー。お手紙ー」
「ほほー・・・誰からのですかい?」
「伊達サンと幸村」
「ぶっ!!」
「・・・、汚い」
いや、そうはいっても今のは仕方ないだろう!思わず吹いてしまった・・・。
茶を啜っていなかっただけ、マシなんだろう。
鵠の冷たいツッコミを受け流し、私はお頭に問う。
これは、もしかしなくても危ないフラグではないのか・・・?!
「・・・一応聞くけど、その内容は?!」
「うえ?えーっと、・・・今日遊びに来るって」
「ガッデム!!!・・・ちなみに、文が届いたのは何時なの?」
「・・・・・・三日?」
「一週間前じゃねえかあああああああああああああああああ」
なにしてくれんの、この子!やっぱり私がちゃんと見ていれば・・・!!
ああ、だがもう後悔しても遅い。
いやそれにしても一体いつくるんだろうk「申の刻だってー」今じゃねえかあああああああ
口が悪い?この状況なんだ、察していただきたい!!
いや、しかしよりによってなんで今日なんだ。見計らったのだろうか?いやそれはないだろうけど。
私はすぐさま立ちあがり、襖の外で待機していた小姓の次郎太に声をかける。
「次郎太!今すぐ吉太と共に、御客人の出迎えに行ってくれ。それと、女中に茶と茶菓子の用意を頼んでくれ。
出来上がったら、客間に持ってくるように。早急にな」
「は!」
私が早口にそう告げれば、頭を垂れすぐさま廊下を駆けて行く次郎太。
次郎太は小姓の中でもできる子だから、きっと大丈夫だろう。同じ小姓の吉太も今は手が空いてるはずだ。
遠くなっていく次郎太を見届ければ、今度はお頭だ。
「さ、お頭。客間に行くよ」
「うん。・・・なんか大変だねえ」
「アンタのせいだけどな」
うへーと笑うお頭。こっちの身にもなってくれ。
ああ、そういえば琉さんはどうしよう。と、ん?なんだか琉さんソワソワしてないか?
なんかニヨニヨというか・・・。
「あのー、さんっ!」
「はい、なんでしょう」
「あたしも一緒に行っていいですかあっ!」
それはもう、満面の笑みでおっしゃられた。
その隣では、「いいでしょ?」とでも言うかのように笑っているお頭。
これは、断れないじゃん、うん。
**
「で、なんで真田がここに居るんだよ?Ah-n?」
「それはこちらの台詞でござる!某はただ、殿たちにお会いしたく、佐助に問えば今日が良いと言っていたのでござる!」
「猿、テメエ・・・っ!」
「んふー、なんのことでしょーぉ」
「政宗様、落ち着かれよ」
わー、すごーい。みんなが居るよ、ユッキ―!おかーん!
みなさん、ご機嫌麗しゅう。あたしは麗しすぎますよん。いや、あたし自身は麗しくも何とも(以下省略)
今現在、あたしは天木城とやらに居ります。もっと詳しく言えば、そこの客間に居ります。
なんでこんなところに居るかというと、詳細はWEBで。あ、はい嘘です。
分からないお嬢様方は、「その者、落とされる」から順番に読みませうね!
まあ、前置きはさておくぃぃぃ!
郁ちゃんの可愛いうっかり☆があり、色々とドタバタしたんだけど
あのあと無事にユッキ―一行とまさっち一行はこの城に到着しました!
さんのおかげですね!うっかり惚れそうになっちゃったぜぃ。いや、一目惚れでしたけどn
ああ、また脱線しちゃった。あたし脱線しすぎ。脱線電車か!
どうやらユッキ―たちは、ただ単に遊びに来ただけらすぃく!!
いまは呑気にお茶を啜っております。(一部では、喧嘩が勃発しそうだけどNE!)
その様子に郁ちゃんはケラケラと笑って、さんはく、しょう・・・?あるぇ、なんだか溜息ついてませんかー?!
溜息ついたら、幸せ逃げちゃうんだぜ・・・?
と、火花をバチバチ飛ばしていたまさっちが(ようやく)あたしの存在に気づいたのか
声をかけてきました。
「Ah-?そこのgirlは誰だ?」
「えーとですね、こちらの方は・・・」
「さんのお嫁さんです!」
「「「ぶふっ」」」
「What?!」
「ま、ま、ま、真でござるかっ???!!」
いっちゃった☆
いや、お婿さんでもよかったんだけどね。さん、男前だからね。
あたしがお嫁さん発言をすれば、その場全員が吹きますた。いい反応だね、みんな!
オカンの佐助までもが、かなり吃驚してますな。お前、それでも忍か!
オトンのこじゅさんもなんだか焦ってます。
「No!の嫁は俺だ、っじゃなくて!は俺の嫁だ!Honeyだ!!」
「破廉恥でござるうううううううう!」
「ちょっと、竜の旦那!勝手なこと言わないでくれるー?ちゃんは俺様のだかんね!」
「猿飛、手前・・・いい度胸してんな」
・・・あら?なんだか話が読めてきたぞう?
もしかして、いやもしかしなくても・・・ここって・・・逆ハ―(?)のお話ですかぃ?!
あと、ひょっとしてナリナリとかアニキとかKGとかも好きなパターンだったりりますか?!
だったら美味しい展開だと思うんだけど・・・!
ん?
ちょっと、まてよ?
オカン、さっき「ちゃん」って言ってたよね?
あら?もしかして・・・
「ね、ねー郁ちゃん」
「ん?」
「さんって、おにゃのこ・・・だったりする?」
「?そうだよ?」
「がっでぇぇぇぇぇむ!!!!」
「「「「っ!?」」」」
あたしのお馬鹿さーん!(ちょっとオカン意識してみますた)
女の子を、ずっと男だと勘違いしてただなんて・・・!あるまじき行為!!!あたしのばか!
聞けば、普段はサラシを巻いているだとか!それにしても、気づかないあたしって何!
とりあえず、お詫びということでジャンピングかつスライディング土下座をしますた。
(なんかたまーに可愛いなー!とか思ったのは、おにゃのこだったからかァっ!!!)
うふふ、やっとこのネタ出せた・・・うふふ((
そして琉ちゃんは勘違いにやっと気づきました。よかったね!これでよりセクハr(ry
次で終わる・・・のか?終われる・・・のか?!!←
2012.4.22