「チカが見えない世界は、私が見せてあげるよ」
そう言ってお前は俺に笑ってみせてくれた。
その言葉のとおり、お前は俺に世界を見せてくれた。きらきらと、どこまでも眩しい世界。
殻に籠もっていた俺の手を引き、眩しい世界を見せてくれたお前が好きだった。
いや、その気持ちは今も変わらない。
言うなれば、お前は俺の救世主。
*
「・・・」
「・・・」
「・・・チカ、どうした?」
「いやよお、癒されんなーって」
「そうか・・・
とでも言うと思ったか」
「いでっ」
額を軽く叩かれる。いや、そこまで痛くはねえんだが、反射ってやつだよな。
今は、油断すればすぐにでも眠ってしまいそうな昼下がり。
空は青く、ぽっかりと浮かぶ雲がゆるりと流れている。・・・平和、だよなあ。
俺の腕の中には、一人の女。幼馴染の。
何故俺の腕の中に居るのかっていうと、それは簡単で俺が抱きしめてるからであって。
なんで抱きしめているのかっていうと、それは癒されるからであって。
たまに、無性に凌に抱きつきたくなる。・・・
別に変な趣向とかじゃねえよ。
「・・・ま、いいけど」
「おう」
諦めたのか、は傍にあった読みかけだったらしい本を手に取る。
よくこんな字だらけのモン読めるな・・・。
視界の端には、それなりに整った顔。
・・・はあまり化粧とかしねえよな。香水もつけてねえ。自然なシャンプーとかの匂いで好きだ。
髪もあまりいじっていなくて、真っ黒な綺麗な髪。
俺は今現在、胡坐をかき、足の上にを乗せ、腰に腕を回し、肩の上に顔をおいている。
匂いも、温もりも、全てが癒されるんだよなあ・・・。
さっきからは本を読んでいて、俺は黙ってこの状態。
ちなみにの自室で、質素で物が少ないせいか広く感じる。
傍から見れば「なにをやっているんだ」とでも言いたくなるかもしれねえが、俺はこの時間が嫌いではない。
むしろ好きだ。
目の前には、黙々と本を読む。
無意識に、腰にまわす腕の力が強まる。
そうすれば、さきほどまで本を読んでいたがパタンを本を閉じた。
何かと思えば、目の前の人物は振り返り、言葉をつむぐ。
「・・・なにかあった?」
「・・・・・・なんでもねえよ」
「嘘つけ。チカがこうするときは、大抵なにかあった日だよ」
眉間にしわを寄せ、眉をさげ、そう苦笑する幼馴染。
・・・伊達に十年以上幼馴染やってません、てか。
今も昔も、やっぱりコイツには敵わない。
「・・・今日、野郎どもの1人が他校のヤツらにボコられてよ」
「うん」
「勿論、仕返しはした。けど、これでまた他のヤツにも迷惑かけんな、って」
「・・・うん」
「その他校のヤツは、俺に恨みがあったらしい。今までもそういうことはあった。けどよ、いつまでもこんなんじゃ、
俺が居る限り、野郎どもはずっと同じ目に遭うんじゃねえかってよお・・・」
あー、くそ。言葉にしたら、余計俺に腹が立つ。
今までもあったことなのに、ふとこういう風に思うことがある。何でなのかは俺にも分からない。
俺のことは別にどうでもいい。喧嘩みたいに馬鹿やって、体動かすのは好きだからな。
ただ、野郎どもが俺のせいでああいう目にあうのは好きじゃない。
俺のことを慕ってくれる野郎どもが、そういう目に遭うのは心底色々と腹が立つ。
勿論、そいつを襲ったヤツに対してもだが、そういう事態を招いた俺にもだ。
なんだか色々な感情が混ざり合って、いやだ。
思わずの髪に顔を埋める。の体温と、匂いが少し俺を落ち着かせる。
そうすれば、頭上でふ、と笑う声。
「チカのそういう舎弟思いなところ、私は好きだよ」
「・・・」
「大丈夫、その野郎どもさん達とやらはチカを慕って、ついてきているんでしょう。きっとどんな目に遭っても、
チカについてってくれるよ」
優しい声でそう言えば、くるりと器用に俺の方に向き合う。
そのまま俺の方を向いたと思えば、俺の左目にその柔らかな唇をつける。
がどういう考えでこの行為をしているのかは分からない。きっと、俺の気持ちなんかも知らないんだろう。
それでも、俺の心が落ち着くというのは変わらない。
なりの、おまじないだ。
布越しでも分かる、凌のあたたかさ。これに俺は何度救われただろう。
「・・・そう、か?」
「そう」
「・・・ハハっ、には敵わねえな」
くしゃくしゃと頭をなでれば、薄い笑み。
救われる側は柄じゃあないんだが、お前が救世主なら悪くはない。
今ではないが、いつか俺の想いの丈を伝えてみようか。
俺のお前への想いも救ってくれるだろうか?
救世主
( いつだって君は、僕のヒーローさ )
ああああああああああなんだかやるせないいいいいいいいい
無性に元親が書きたくなって・・・それが、この不完全燃焼(゚д゚;;;)
なんか、もっと、こうイチャイチャさせてかった、んだけどなあ・・・
何をどう間違えたのか。最後の方とか意味わからん、みたいなね。
色々と履き違えました。
なんか、こう、もっと・・・((
自分の文面って寂しくないですか?自分ではそう思ってるんですけど・・・
もうちょっと変えたい。色々と。
今回は、頑張って短くした・・・結果がこれか。
長くないと甘くなれないのか・・・?・・・
あほか自分。
2012.4.7