「チカが見えない世界は、私が見せてあげるよ」





そう言ってお前は俺に笑ってみせてくれた。
その言葉のとおり、お前は俺に世界を見せてくれた。きらきらと、どこまでも眩しい世界。
殻に籠もっていた俺の手を引き、眩しい世界を見せてくれたお前が好きだった。

いや、その気持ちは今も変わらない。



言うなれば、お前は俺の救世主。













「・・・」

「・・・」

「・・・チカ、どうした?」

「いやよお、癒されんなーって」

「そうか・・・とでも言うと思ったか

「いでっ」






額を軽く叩かれる。いや、そこまで痛くはねえんだが、反射ってやつだよな。



今は、油断すればすぐにでも眠ってしまいそうな昼下がり。
空は青く、ぽっかりと浮かぶ雲がゆるりと流れている。・・・平和、だよなあ。


俺の腕の中には、一人の女。幼馴染の
何故俺の腕の中に居るのかっていうと、それは簡単で俺が抱きしめてるからであって。
なんで抱きしめているのかっていうと、それは癒されるからであって。
たまに、無性に凌に抱きつきたくなる。・・・別に変な趣向とかじゃねえよ。





「・・・ま、いいけど」

「おう」





諦めたのか、は傍にあった読みかけだったらしい本を手に取る。
よくこんな字だらけのモン読めるな・・・。


視界の端には、それなりに整った顔。
・・・はあまり化粧とかしねえよな。香水もつけてねえ。自然なシャンプーとかの匂いで好きだ。
髪もあまりいじっていなくて、真っ黒な綺麗な髪。

俺は今現在、胡坐をかき、足の上にを乗せ、腰に腕を回し、肩の上に顔をおいている。
匂いも、温もりも、全てが癒されるんだよなあ・・・。



さっきからは本を読んでいて、俺は黙ってこの状態。
ちなみにの自室で、質素で物が少ないせいか広く感じる。
傍から見れば「なにをやっているんだ」とでも言いたくなるかもしれねえが、俺はこの時間が嫌いではない。
むしろ好きだ。




目の前には、黙々と本を読む

無意識に、腰にまわす腕の力が強まる。


そうすれば、さきほどまで本を読んでいたがパタンを本を閉じた。
何かと思えば、目の前の人物は振り返り、言葉をつむぐ。





「・・・なにかあった?」

「・・・・・・なんでもねえよ」

「嘘つけ。チカがこうするときは、大抵なにかあった日だよ」





眉間にしわを寄せ、眉をさげ、そう苦笑する幼馴染。
・・・伊達に十年以上幼馴染やってません、てか。


今も昔も、やっぱりコイツには敵わない。





「・・・今日、野郎どもの1人が他校のヤツらにボコられてよ」

「うん」

「勿論、仕返しはした。けど、これでまた他のヤツにも迷惑かけんな、って」

「・・・うん」

「その他校のヤツは、俺に恨みがあったらしい。今までもそういうことはあった。けどよ、いつまでもこんなんじゃ、
 俺が居る限り、野郎どもはずっと同じ目に遭うんじゃねえかってよお・・・」





あー、くそ。言葉にしたら、余計俺に腹が立つ。
今までもあったことなのに、ふとこういう風に思うことがある。何でなのかは俺にも分からない。


俺のことは別にどうでもいい。喧嘩みたいに馬鹿やって、体動かすのは好きだからな。
ただ、野郎どもが俺のせいでああいう目にあうのは好きじゃない。
俺のことを慕ってくれる野郎どもが、そういう目に遭うのは心底色々と腹が立つ。
勿論、そいつを襲ったヤツに対してもだが、そういう事態を招いた俺にもだ。



なんだか色々な感情が混ざり合って、いやだ。
思わずの髪に顔を埋める。の体温と、匂いが少し俺を落ち着かせる。

そうすれば、頭上でふ、と笑う声。





「チカのそういう舎弟思いなところ、私は好きだよ」

「・・・」

「大丈夫、その野郎どもさん達とやらはチカを慕って、ついてきているんでしょう。きっとどんな目に遭っても、
 チカについてってくれるよ」





優しい声でそう言えば、くるりと器用に俺の方に向き合う。
そのまま俺の方を向いたと思えば、俺の左目にその柔らかな唇をつける。

がどういう考えでこの行為をしているのかは分からない。きっと、俺の気持ちなんかも知らないんだろう。
それでも、俺の心が落ち着くというのは変わらない。
なりの、おまじないだ。
布越しでも分かる、凌のあたたかさ。これに俺は何度救われただろう。





「・・・そう、か?」

「そう」

「・・・ハハっ、には敵わねえな」





くしゃくしゃと頭をなでれば、薄い笑み。



救われる側は柄じゃあないんだが、お前が救世主なら悪くはない。

今ではないが、いつか俺の想いの丈を伝えてみようか。
俺のお前への想いも救ってくれるだろうか?








救世主

( いつだって君は、僕のヒーローさ )






Photo by 「水珠 」












ああああああああああなんだかやるせないいいいいいいいい

無性に元親が書きたくなって・・・それが、この不完全燃焼(゚д゚;;;)
なんか、もっと、こうイチャイチャさせてかった、んだけどなあ・・・
何をどう間違えたのか。最後の方とか意味わからん、みたいなね。
色々と履き違えました。

なんか、こう、もっと・・・((
自分の文面って寂しくないですか?自分ではそう思ってるんですけど・・・
もうちょっと変えたい。色々と。

今回は、頑張って短くした・・・結果がこれか。
長くないと甘くなれないのか・・・?・・・あほか自分。



2012.4.7